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所得金額は益金の額から損金の額を控除して計算すると定めています。
ここでは所得金額の計算方法の原点に戻って,「所得金額=益金の額一損金の額」についてみていきましょう。
次の2つの算式を見比べてみてください。
利益金額=収益一損費所得金額=益金一損金所得金額の計算式の中で益金とあるのは,あとで述べる別段の定めと資本等取引を除き,商品や製品などの販売による売上収入,土地や建物などの固定資産の譲渡による収入,請負その他の役務(サービス)の提供による収入,受取利息や受取配当金など,企業会計でいう収益にあたるものをいいます。
ただこの他にも無償による資産の譲受けや,無償による資産の譲渡及び無償による役務の提供も益金に含まれるとされています。
無償による資産の譲渡や無償による役務の提供,いわゆる贈与までが益金に含まれるのは経済的効果から考えて資産の譲渡代金を免除したのと同様とみられるからといわれています。
たとえば,時価10億円の土地を譲渡したとします。
その後その代金の全額を免除すれば時価]。0億円の土地を贈与したのと同じ経済的効果が得られるでしょう。
すなわち,贈与した物件の譲渡収入を計上するとともに代金免除によるロス(寄附金)も計上します。
表現を変えると,法人税では益金をネットではなくグロスでとらえるということになるでしょう。
法人税が益金をグロスでとらえるには理由があります。
企業会計では収益(譲渡代金)と損費(寄附金)が同額となりますので,グロスでとらえてもネットでとらえても利益金額が変わることはなく,グロスでとらえる実益はほとんどないといってよいでしょう。
しかし法人税では譲渡代金の免除を寄附金や交際費としてとらえ,損金の算入に一定の制限を設けている関係で,収益と損費をグロスでとらえる必要が生じるのです。
証券会社の損失補填などで,損をしたはずの証券会社が課税されたのにはこのような理由があったのです。
次に損金とは別段の定めや資本等取引を除き,売上原価,販売費及び一般管理費,支払利息,災害による損失など企業会計でいう損費(売上原価,費用,損失)にあたるものをいいます。
このようにみると利益金額と所得金額はおおむね同じものであることが分かります。
このため,実務ではわざわざ所得金額の計算のために企業会計とは別の処理をすることなく,利益金額との差異を決算・申告の手続きの中で調整計算して所得金額を求めることとしているのです。
益金や損金は,企業会計の収益や損費にあたるものといいました。
むしろ企業会計がベースになっているといったほうがよいのかもしれません。
実は税法では,益金や損金について詳細な規定を設けず,その大部分を「公正妥当な会計処理」にゆだねているのです。
ここでいう公正妥当な会計処理は,企業会計原則や商法を中心として現実に継続して適用され,妥当な会計処理として法的規範性を帯びているものということができるでしょう。
しかし読者の皆さんは,公認会計士などの専門家の監査を経て作成された決算報告書が,公正妥当な会計処理がなされているものと理解していただければよいでしょう。
所得金額は,利益金額に税務上の調整計算を施して求めます。
この調整計算項目が「別段の定め」と呼ばれるもので,企業会計と法人税との相違がある法人税独自の規定といえるでしょう。
別段の定めを設ける理由としては,先にも触れたられます。
別段の定めには次の4つがあります。
なお個々の内容についてはあとで詳しく勉強しますので,ここでは4つの項目があることを覚えればよいでしょう。
が,益金であるもの(引当金や準備金の戻入れなど)でないもの(受取配当金の益金不算入など)が,損金であるもの(各種準備金の繰入れ,収用の特別控除など)でないもの(償却限度超過額,引当金繰入限度超過額,寄附金,交際費,過大役員報酬など)資本等取引は所得計算に含めないことになっています。
この資本等取引には,①資本等の金額(資本金,資本積立金)の増加または減少を生ずる取引と,②利益処分の2つがあり,①は増資や減資②は配当や役員賞与がその代表的なものといえましょう。
資本等の増減は,利益とは無関係ですから所得計算から除外されるのは理解できると思います。
利益処分が除かれるのは,配当や役員賞与が法人税の課税済みの利益から支払われるからです。
所得金額は利益金額に別段の定めによる調整計算を施して求めます。
このように,利益金額から所得金額を誘導する手続きを「税務調整」といい,税務調整は決算調整と申告調整とに分けられます。
税法では,確定した決算の段階で損金経理(費用又は損失として経理すること)その他の税法の指定する所定の経理処理をしないと,損金として認めないものがあります。
このために決算手続きの中で所定の経理をすることを「決算調整」と呼んでいます。
決算調整の対象となるのは会社内部で計算されるものが中心です。
内部計算事項は外部取引と異なり会社の恣意的な要素が介入しやすいので,最高の意思決定機関である株主総会の承認をもって会社の意思を確認しようというのです。
たとえば,減価償却費をいくら計上するかといったことは,その会社の決算政策のーつといえましょう。
極論すれば減価償却費をいくら計上するかは,その会社の意思次第といえるのです。
そこで税法では損金に算入しようとする減価償却費の額を確定決算において会社に意思表示させ,これを確認しようとしているのT^-十認しようとしているのです確定した決算における利益金額から課税される所得金額に修正することを「申告調整」といい,必ず調整を要する必要的調整事項と,調整すれば認められる任意的調整事項とがあります。
申告調整は,確定した決算における利益金額に益金算入項目と損金不算入項目を加算し,益金不算入項目と損金算入項目を減算することによって行います。
利益金額十加算一減算=所得金額加算=益金算入十損金不算入減算=益金不算入十損金算入この申告調整は,実務上法人税の別表四(所得金額の計算に関する明細書→第m章巻頭)で行っています。
24頁の損益計算書を見てください。
最後のほうに「当期利益176,761,409」と表示されているでしょう。
この金額と38頁の別表四上部の「当期利益又は当期欠損の額」は同じものです。
したがって「当期利益又は当期欠損の額」が確定した決算における利益金額で,別表四の最下部「所得金額又は欠損金額」が課税される所得金額です。
そしてこれらの間にあるのが申告調整項目なのです。
決算調整事項と申告調整事項を見ると,どちらにも減価償却があることに気付かれたでしょう。
税法は減価償却費の損金算入額に一定の限度額を設けた上で,減価償却費を損金に算入するときはまず確定した決算において償却費として損金経理することを要求し,会社が計上した償却費が税法の定める限度額を超過する場合,その超過額は損金算入を認めないと定めています。
すなわち,①決算調整において償却費として損金経理し,②申告調整において超過額を損金不算入(利益金額に加算)とするという,2段階の手続きが必要となるのです。
別段の定め「別段の定め」とは、まず基本的な規定を条文上定めておき、それとは異なる内容を別の法律又は別の条文で規定している場合がありますが、その規定のことをいいます。
具体例で示しますと、国税通則法という法律がありますが、この法律には国税に関する基本的・共通的な事項が定められています。
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